地域通貨とは何か

地域通貨の定義と目的

【定義】

地域通貨は,日銀券や硬貨とは異なる目的や特性であり,「お金であってお金でない」ものである。また,それは日銀券や硬貨ではカバーできない機能を保有しており,お金そのものを示すこともあれば,仕組みを指す場合もある。より専門的な言葉で言い換えるならば,地域通貨は「経済と社会・文化の複合メディア」である(西部[2004]p4)。

<地域通貨の経済的側面>

地域通貨は,自立循環型経済と自由民主的社会を構築するために,人々が自主的に設計・運営する,特定の地域・コミュニティ内でのみ流通する,利子がつかない,経済メディアである(西部[2004]p3)。

<地域通貨の社会・文化的側面>

地域通貨は,協同的コミュニティを形成にするために,人々をつなぎ合わせ,互酬的・互助的関係を形成し,共通の価値や関心を表現・伝達・共有するための社会・文化メディアである(西部[2004]p4)。

 

【目的】

地域通貨の目的を整理すると,経済的な目的(①〜③)とコミュニティに関連した目的(④〜⑥)とに分けられる(西部[2002]p16)。

①信頼を基盤として互酬的交換をめざす。

②地域通貨の域内循環により地域経済の自律的な成長を確立し,インフレや失業の問題を解決する。

③ゼロないし負の利子により,信用創造,投機,独占的な資本蓄積を阻止し,財やサービスの取引を活発化する。

④個人の福祉・介護,救援などの非市場的サービスを多様な観点から評価する仕組みを提供し,それらを活発にする。

⑤労働,消費,福祉,環境に関わる,さまざまな非政府組織(NGO)や非営利組織(NPO)の活動を互いに結びつけるための理念や枠組みを提示する。

⑥人々にただ安心感や一体感を与えるのではなく,人々の間に協同や信頼の関係を築き,貨幣交換へと一元化しているコミュニケーションを多様で豊かなものにする。

 

【参考文献】

西部忠[2002]『地域通貨を知ろう』岩波ブックレット。

西部忠[2004]『地域通貨のすすめ』北海道商工会連合会。

地域通貨の発行方式

【地域通貨の発行方式】

<紙幣方式>

「紙幣方式」とは,発行委員会が独自のデザインやメッセージを印刷した紙幣を発行し,それが人々の取引を通じて転々と流通していくタイプの地域通貨である(西部[2002]p36)。

 

<口座方式(記帳方式)>

「口座方式」とは,紙幣を発行せず,参加者が残高ゼロから出発する口座をもち,モノやサービスを提供した(売った)ときに黒字(プラス),提供してもらった(買った)ときに赤字(マイナス)を記帳していくことによって取引を多角的に決済していく方式である(西部[2002]p38)。

 

<手形方式(債務証書方式)>

「手形方式」とは,モノやサービスの提供を受けた個人が自ら新たに手形(債務証書)を振り出すか,第三者から受け取った債務証書に裏書きして使うかのいずれかによって,取引を行う方式である(西部[2002]p41)。

 

地域通貨発行方式の違いによる長所と短所


長所 短所
紙幣方式

・簡便で匿名的
・現行通貨に似た使用感覚
・シンボリックなアピール機能あり
・不特定多数に広がりやすい


・発行権限の集中
・発行団体による信用創造の可能性
・発行ルールの整備,発行量管理が必要
・流通経路,取引集計が困難
・流通範囲の限定が困難
・偽造の可能性あり
・法的問題が生じる恐れあり

口座方式
・各個人が交換時に通貨を発行
・信用創造なし
・赤字が持てる
・会員制なのでコミュニティ構築が容易
・流通経路が特定可能,不正防止になる
・流通範囲を限定できる
・赤字限度が設定可能
・電子マネーによる短所の克服が可能

・記帳に手間がかかる
・運営や管理が必要
・モラルハザードが生じる可能性あり

手形方式
・各個人が交換時に通貨発行
・信用創造なし
・赤字が持てる
・遠方の相手とも取引可能
・通常取引時には簡便
・シンボリックなアピール機能あり
・不特定多数に広がりやすい


・発行に手間がかかる
・流通経路,取引集計が困難
・流通範囲の限定が困難
・偽造の可能性あり
・管理や監視は困難
・赤字限度が設定不可能
・モラルハザードが生じる可能性大

(出典:西部[2002]p43, 表1)

【参考文献】

西部忠[2001]『豊かなコミュニティづくりを目指す地域通貨の可能性—地域社会の創造的な活性化を求めて—』北海道自治政策研修センター。

西部忠[2002]『地域通貨を知ろう』岩波ブックレット。

西部忠[2004]『地域通貨のすすめ』北海道商工会連合会。

Qプロジェクトの最近の活動状況について

[Qのリニュアール・サイト]

Qプロジェクトはかれこれ5年前の2001年に開始されたプロジェクトで,現在は宮地剛さんが代表をされています。Qホームページは最近xoopsを使ってリニューアルしました。

http://www.q-project.org/

にあります。

[システムソフト:以前のWinds_qと現行のWinds_sletsの違い]

Qでは以前はWinds-qというかなり複雑で大規模なperlプログラムを採用していましたが,今ではよりシンプルなWinds_sletsを使っています。Winds_sletsは先のQホームページの左側のメニューにありますが,URLはここです。

http://q-project-sys.org/winds/

各会員が自分のIDとパスワードでログインする仕組みで,イーバンクなど,ネットバンクのシステムとそう違いはありません。以前のシステムはネットバンクよりもおそらくずっと複雑なシステムですが,他の会員の取引履歴や口座残高が全て閲覧できるガラス張りになっています。Winds_sletsでは自分の取引履歴と口座残高しか見れないようになっているのと,赤字上限が固定されているのが以前との大きな違いです。

こうなった事情はいろいろありますし,こうするのがいいかどうかについてもディスクロージャーやプライバシーの観点から賛否両論ありました。Qの基本的設計理念は,プライバシーではなくディスクロージャーこそ,会員相互の信頼醸成に不可欠だというものです。Winds_Qはこの考えに基づいて,会員がほとんど全ての情報を見ることができる完全に透明なシステムにしたのです。初めは多少の違和感がありますが,これに一旦慣れてしまうと,他の人がどんな取引をしたのか,そして,その結果としていくら残高を持っているのかといった情報を確認できないと,逆に不安になります。というのも,これではいざ誰かと取引をしようと思っても相手についての情報がないわけで,むしろそういう状況に不満を感じるからです。Yahooオークションや楽天などのバーチャルモールなどでも,買い手が売り手を評価した評判情報をポイントにして提供しますが,それに近い感じで,取引情報そのものが評判情報になるわけです。もちろん,会員の合意に基づいて,一定の情報を見れないようにすることはシステム上できるようになっています。

Winds_Qには,参加者の実績評価の仕組みとして,売り買いの取引合計に赤字上限が連動して拡大する仕組みが組み込まれていました。これはあるプログラマの方が一人で書いたものですが,プログラムが大きく入り組んでいて,本人でもどこに何があるかがわからなくなるそうで,このため,メンテナンスやアップグレードが難しくなってしまったのです。かつてはQハイブにソフトウェア関係だけでも数人の「ボランティア」が参加していたのでこの巨大システムのメンテやバグ取りも可能でしたが,今はプログラマがいないという厳しい状況なのです。となると,管理運営の負担軽減を第一に考え,システムのメンテナンス,開発における簡便さを他の設計理念に優先させざるをえなくなるのです。

ということで,Qはいま最もシンプルなLETSをビルトインしたslets(simple-letsの意)を採用しています。これをミニマムなシステムと考えれば,さらに必要となる機能のモジュールを追加的に開発して行けば,より高度なシステムが作れます(あくまで理想の話ですが)。こうしたモジュール思想に基づいていますので,拡張可能性は確保されています。要は,その後を誰が開発し管理するかということです。いずれもう一度この点について議論しようということになっています。

[カフェ・コモンズ]

ところで,宮地さんはいまQの代表であるだけでなく,あるカフェの店長でもあります。昨年,スローフードとスローワーク(引きこもりの人が働ける場所づくり)というコンセプトを掲げて,大阪府高槻市で何人かの仲間とともにカフェ・コモンズを開店し,そこでの飲食サービスの支払いにQを使えるようにしました。

http://cafe-commons.com/
http://cafe-commons.com/05staffs/index.html

いくらネット上の通貨とはいえ,やはり実際にQが使える店,Qで買えるモノやサービスがないとうまく流通してくれません。東京国分寺にスローフードのカフェとして有名なカフェスローがありますが,そこでQが使えます。宮地さんがQ代表になってからQの今後のことをいろいろ議論したのですが,とにかくまず使える店を一つでも増やすことが大切だという結論に達しました。そこで,カフェスローに匹敵する店を関西にも作りたいということで,カフェスローを手がけたデザイナーの大岩さんに設計をお願いし,店の内装やパンを焼く石窯は自分たちでこつこつ作っていったそうです。ここにそうした説明があります。

http://cafe-commons.com/03aboutus/index.html

話を聞いていると,開店当初は宮地さんらの賃金の支払もままならず,しかも「スローワーク」と言うスローガンとは裏腹な「ハードワーク」の毎日で,へとへとに疲れ,経営的にも相当苦戦していました。しかし,このところ,毎月イベントを開催して次第に固定客も増えており,経営的にも安定してきました。余裕ができたこともあり,ようやく当初考えていたQなどの地域通貨との連携も実現化してきたようです。

[Qの沿革]

ここで,Qの沿革について説明しておきます。予めお断りしておきますが,詳細な事情や理論的な批判についてはここで書くことはできません。いずれ,別の機会に書くつもりですので,ここでは,特にQに関心を持っていただいた方に知っておいていただきたいと思うことだけを記しておきたいと思います。

Qプロジェクトは私がNAM(NAM(New Associationist Movement)は柄谷行人が中心になり2000年に創始した運動,浅田彰,坂本龍一,岡崎乾二郎,スガ秀美等の著名人,太田出版社長・社員他も参加,私も初めから参加したが,下記の理由で2002年に脱退した。その後,2003年解散。)にいた頃に始めたものです。参加者を募集し,半年ほどの討議と準備期間を経て,2001年12月に正式に会員を募集しました。

[Qハイブ]

Qの運営母体であるQ管理運営員会は,「ビーハイブ」(蜂の巣)をもじって「Qハイブ」と呼ばれていました。Qハイブは当時20人ほどいて,MLで討議や情報交換,報告をしながら運営されていました。各委員会ごとに会議室ならぬMLがあったので,全部でMLは10以上ありました。NAM会員を中心に運営を行っていましたが,そうでない人もいました。Qハイブメンバーの居住地はグローバルで,東京,大阪,名古屋を中心に北海道や長崎,ニューヨーク等から参加していました。Q会員の地理的分布も同じようなもので,グローバルに散らばっています。Qを「グローカル通貨」と呼ぶのは,ネット上のバーチャルなコミュニティが関心に規定されるローカルなものでありながら,参加者の居住空間がまったくグローバルであるということによります。

[Qの基本方針:開放性と独立性]

プロジェクトは準備段階からNAMメンバーだけのクローズドなものでなく,メンバーではない一般の方も参加できる,オープンなネット上の地域通貨を指向していました。したがって,プロジェクトの正式の開始時点でも,Qはその会員をNAMに限らず,その外部からも広く募集したのです。実際,NAMとまったく関係ない人もかなり参加してくれました。このQの開放性と独立性については,事前討議の段階で突っ込んだ議論がされました。なぜQがNAMの集合の外へ出なければならないのか,その場合,NAMの位置付けはどうなるのかなどです。言うまでもなく,この議論には後に騒いだ柄谷行人も参加していて,このことを承認していました。そして,この基本方針は,Qハイブでその後何度も確認されてきたのです。

[QとNAMの紛争における柄谷行人の言動]

ところが,やがてこのことが問題として顕在化してきました。2002年8月下旬に,オフ会でQの運営方法と方向性について運営メンバーが話し合うことになっていました。ここに,柄谷行人(監査委員)が何の連絡もなかったのに飛び入り参加し,Qの基本方針に強引に介入しようとしたのです。それだけでなく,自分の意に添わない副代表を辞任させろなど不当な要求を突きつけ,それに従わない私に対して,恫喝を続けました。徹夜でも自分の意見に従わないQ代表である私に対して,さらに,自分の社会的地位(近畿大学国際人文科学研究所所長)を利用して圧力をかけてきました。このため,私は2002年8月31日にNAMを退会したのです。

彼の意図は,意識的だったかどうか知りませんが,QをNAMに従属させることにあったようです。柄谷行人はその後,私やQを誹謗する文書「Qは終わった」を書いて,NAMの最高議決機関である評議委員会の承認もえないで勝手にNAMのHPに載せようとします。回りの人々がそれを止めたことに腹を立て,「自分を専制的と言うならば,NAMを辞める」と脅します。その時,彼は既に代表ではなく,NAMでは何の正式な権限も持っていませんでした。しかも,自分が称揚した「くじ引き」(権力の固定や派閥争いをなくす事を目的に,選挙で選んだ最後の3人の候補からくじ引きで代表を決め,残りの二人を副代表にするという方法)により決定した新しい代表や副代表がいて,彼らが評議会で止めに入った,特に,弁護士である副代表が名誉毀損の恐れありと忠告したにもかかわらず,まったく言うことを聞かなかったということです。その挙げ句の果てに,自分を止めた評議会委員に逆に謝罪させ,辞めるどころか居直って,ますます好き放題に暴れました。彼はその間もQへの攻撃や嫌がらせによりQをつぶそうとしますが,このやり方に反発するNAM会員も多く,なかなか彼の意のままになりませんでした。そして,最終的に,2003年2月にNAMは解散してしまいました。

私はその当時,柄谷行人が引きおこした会費返還,退会煽動の対処に追われていましたし,QハイブにいるNAM会員も黙っているので,NAMで一体何が起こっているか知りませんでした。後でいま説明した経過を知った時には,ただあきれて開いた口が塞がりませんでした。この一連の行動を間近で見た人が,それを「ちゃぶ台返し」(「巨人の星」の主人公の父,星一徹が得意とするところの)に喩えましたが,父性の爆発とかそんな高級なものではないでしょう。自分が欲しい玩具が買い与えられないで道路で大の字になって泣き叫ぶ幼児のような行動でしかありません。柄谷行人はQへの中傷文書において,Q管理運営委員会(Q管)のメンバーを「Q患」に喩え,ピョンヤンに行くべきだと言うのですが,自分こそまさにピョンヤンの首領であることには全く盲目なのです。こういう言葉から見ると,Qに対する言動も無意識的なものだったのだろうということです。

私や副代表を中心とする何人かのメンバーは「Qプロジェクト」をNAMから独立のプロジェクトにするという大規模な外科手術を施すことで,この問題を解決しようとしましたが,転移があちこちに進行して組織癒着もひどく,うまく行きませんでした。QをNAMの下部組織にしようとする柄谷行人の考えに追随するNAMに属するQハイブのメンバーが意外に多かったため,これがQとNAMの「紛争」へと発展してしまったのです。

そういう独裁的体制の中で,柄谷行人シンパの過激な小グループが自然発生的に形成されました。2002年10月に,柄谷の実の息子やQハイブメンバーを含め3名が総額1億Qを超える架空取引をでっちあげて,こうした不正が発覚すると今度はそれをシステムのバグを教えてやったのだと開き直ったり,MLでQは欠陥のあるシステムであるとかいちゃもんを付けて会費を返金しろと大騒ぎしたり,挙げ句の果てに,他のメンバーにQを退会するよう煽動したりしました。こうした自作自演ともいうべき,露骨で悪質な妨害活動を裏で操っていたのが柄谷行人でした。そして,こうしたQでの騒ぎに絡んで柄谷行人がNAMで傍若無人な言動を繰り返した結果,NAMが解散に追い込まれました。こうしたことすべてが,今や当時のMLのメールなどの資料から明らかになっているのです。

柄谷行人は『倫理21』で戦争責任を問い,「望ましい責任の取り方は、この間の過程を残らず考察することです。いかにしてそうなったのかを、徹底的に検証し認識すること、それは自己弁護とは別のものです。」と述べています。かくいう著者が自らの紛争責任を問い,自己の言動の「過程を徹底的に検証し認識すること」で責任を果たす気はあるのか。認識と考察だけで責任が十全に果たせるとは私は考えませんが,せめて自分の言葉どおりのことをできるのか。鋭い批評的洞察も己に対してなぜかくも盲目なのか,と思わざるをえません。

Qの方はこうした煽動でも柄谷行人や彼を取り巻くグループを構成する数十人しかメンバーは減らず,その後もNAMの残党からの妨害行為がありながら生き残りました。しかし,彼らの行為により大きな打撃を受けたことはまちがいありません。Qハイブは2年前,Qの規約を大きく改正し,システムをWinds_QからWinds_sletsへ変更しました。初期の規約に書かれていた団体会員や赤字上限の条項を削除し,システムの機能や管理運営員会の役割も縮小しました。そして,それを承認してくれる会員だけ更新してくれるよう求めたのです。この更新手続きは,Qが白紙から出直すという意味で行ったものです。その結果,予想通り会員数が大きく減りました(一時は350いた個人・団体会員も,騒動の中で300を切り,この更新で100を切りました)。多くの参加者は地域通貨がうまく行くかどうかではなく,こういうゴタゴタが阿呆らしくなったとか,嫌気がさしたとかでやめてしまったにちがいありません。

これがいくら理不尽とはいえ,こんなことは世間の様々な集団や組織でもよくあることでしょうし,特別な事態ともいえないでしょう。しかし,こうした紛争さらには戦争をできればなくしたいと考えるのもまた当然ではないでしょうか。今見た柄谷行人の一連の言動に含まれている理論的・実践的な問題点についてはいずれ詳しく論文を書くつもりなので,そちらをご覧いただきたいと思います。また,Qプロジェクトの上記サイトにあるQ監査委員会のアーカイブ等に資料があります。それをご自分でそれを読んでいただければ,ある程度,以上述べたQの関わる事態の経緯はつかめるでしょうし,私が柄谷行人について述べた事実の真偽も判断できるはずです。

[Qの有効性]

ちなみに,私はいまでもQの当初の制度設計の理念やシステムは有効であると考えています。そのための前提条件は,もう少しマトモな社会環境の下で,独立心と自制心を備えた大人が使うのならばということです。これは果たして過大な要求でしょうか。私にはそうは思えません。私自身もそれほど自信があるわけではないので偉そうなことはいえません。しかし,少なくともQに関して柄谷行人やそのシンパが行ったふるまいに陥らない程度の常識と見識があれば,立派に機能しうるシステムだと思っています。もちろん,システムのセキュリティはもっと高める方がいいでしょうし,そうした努力はすべきでしょう。しかし,本当の問題はクライアント・サーバー型の「システム」にあるわけではありません。むしろシステムエンドにある「ヒューマン」や「マインド」の方にあるのです。「ヒューマン」や「マインド」がよくなければ,中央のサーバーに依存しない分散型システムにしても変わりません。

そもそも完全なセキュリティもなければ,解読しえない暗号もありえません。いつか,それらは破られるのでイタチごっこを続けるしかないのでしょう。しかし,初めから全てを技術的に解決すべきだと考えるのもどうでしょうか。<空巣に入っておいて,人の家の戸締まりについて説教をする輩>や,<人殺しをしておきながら,それをナイフの殺傷能力のせいにし,より安全なナイフを要求する輩>は確かに存在して,私たちをうんざりさせます。そのために絶対に破られない鍵や人を殺せないナイフを作ることに延々と努力することは本末転倒でしょう。私は,空巣や人殺しをするなという道徳を過大な要求だとは思いません。

もっとも,プログラムのメンテナンスやアップグレード等の開発を持続できる体制をいかに作るかといった課題が残されていることも確かでしょう。これは,オープンソース型開発につきものの問題です。ここで,地域通貨の円滑な利用のためのソフトウェア開発のための有効な手段は何かと考えて行くと,結局,振り出しに戻ってしまいます。他の様々な問題と同じように,これを解決するには,お金を払う,権力的にやる,コミュニティ的に助け合うしか方法はないように見えるからです。地域通貨による解法とは,このうち1番目のマネーと3番目のコミュニティの合成ベクトルで解を出そうというものです。

話がQのこれまでの経緯についての話からそれてしまいましたので,この辺りで終わりにしておきましょう。

円天の顛末(さわり)

西部です。

最近,政府通貨とか円天とかに絡んで,地域通貨のことをあれこれ言っている人がいるようです。

江頭さんがメールをくれたんで,以下のようにそれに答えてみました。
その後,以下のようなことも考えました。話の種にでもなればと思い,投稿します。

円天は正確には複数回流通するものでなく,一回使われるとお店は換金しておしまいなので,地域通貨とは言えません。商品券なりプリペイドカードとおなじ前払証票ではありますけど,複数回流通させる意図が全くないわけですから。

円天と円とは全く異なる通貨であり,価値尺度としても異なるということを前提にして,プレミアムを毎年100%などという法外なものではなく,初めに一度20%ぐらいにして,そのかわり減価通貨と組み合わせて時間とともに減価していくようにすれば,うまく流通すると思います。「うまく」というのは,円天のように爆発的に発行額は増えないでしょうけど,そこそこ増加しつつ消費を刺激するということです。

今回,円天は,手品のネタとして地域通貨を利用したわけですけど,円とは違う通貨であるというところに,単なるだましのネタ以上の実質的な意味,つまり違法性を消去するという意味があるのかもしれません。

毎年預託してある円貨と同じだけの円天を「配当する」と言っても,「円」ではない「円天」での配当ですから,法律上は「配当」や「利子」と見なされないかもしれません。(多分,円による前払証票の継続的購買とみなされる。)もしそうであれば,出資法違反とも言えなくなるというわけです。その点で法律の網の目をまんまとかいくぐった可能性もあります。波和ニ会長は逮捕されないと豪語されていたようなので,その点を予め考えていたのかもしれません。意図的,計画的だったならば,これは確信犯的なすばらしい手口です。

当初,検察側は出資法違反容疑で家宅捜索したのだけれど,今回の逮捕は出資法違反ではなく,組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)容疑ということです。これだけ時間がかかったということを考えると,出資法違反の立件については検討の末諦めたということなのかもしれないですね。出資法は「不特定多数の者から払い戻すことを約束して金銭を集めることの禁止」を謳っています。L&Gは出資額100%相当の円天を毎年支払い,最終的に出資額を円で払い戻すとしているので,これだけ聞くと,元本保証の出資だから出資法違反と言いたいところですが,何せ配当は「円天」なのだから,以上のような行為は「払い戻すことを約束して金銭を集める」ことになっていないことですかね。結局,この行為自体を「出資」と規定するのは難しいということでしょうか。

他方,ネズミ講やマルチ商法などいわゆる無限連鎖講の場合,無限連鎖講の防止に関する法律があって,無限連鎖講を「終局において破綻すべき性質のもの」と捉え,法律で禁止したわけですけど,これも該当しないというのが検察の判断なのでしょうか。円の出資金が無限に増えるのではないからネズミ講ではないと主張されるとうまくいかないということなのでしょうかね。

で,最終的に,組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)容疑での逮捕と相成ったのでしょう。配当されるものが円ではなく円天であるというところに,出資法や無限連鎖講の防止法をすり抜ける鍵があるとすれば,これは,意外に奥深い問題を提起しているわけです。

江頭さん
こんにちは

> 最近,円天の事件にからんで,ネット検索をしていたら,
> http://stroller.blog.eonet.jp/stroller/2007/10/post-fe08.html
> というサイトを見つけました。地域経済の専門化らしいのですが,
> どうも地域通貨に対する誤解があるのではないか,と思います。
> そもそも,日本円を地域通貨に直接交換するという話をあまり
> 聞いたことがないのですが。基本的には,物の売買の中で
> 生じる債権と債務が地域通貨の形で記録されるのだと思ってい
> ます。

今多くの地域通貨(と称するもの)が法的には商品券(前払い式証票)として 運営しています。われわれがネットワークを調査研究した苫前町地域通貨も地 域商品券です。だから,円で地域通貨をプレミアム(苫前では2%)付きで買 うことができるのです。そして,何回か回って,最後に商店街の店主や業者が 換金することもできます(苫前では換金手数料は1%)。だから,法的にはこ うした地域通貨と円天に違いはないです。「物の売買の中で生じる債権と債務 が地域通貨の形で記録される」というのは,本来の地域通貨であるLETSはそう ですが,ここ数年は地域通貨特区における規制緩和(前払証票発行に関する預 託金の免除)もあり,こういうタイプの地域通貨が普及してきたのです。ま あ。本来の地域通貨から考えれば,邪道なのですが,こうしたものは例の地域 振興券等の頃から考えられていたわけで,特に商店街や市町村がこの種のもの をやったのです。札幌商工会議所が2年前にやったクラークコインもこれですよ。

http://www.sapporo-cci.or.jp/clark/

> したがって,「保有する円以上の地域通貨が発行」などという
> ことが問題となるとは思えないのですが。

まあ,円天の問題は地域通貨的な電子マネーポイントであると言うところには なくて,それがネズミ講(ポンティ金融)とセットになって行われたと言うところにあるのです。要するに,預けてある円貨分,毎年円転がもらえ使えるとするような仕組みが問題なのです。そんなもの参加者がねずみ算式に増えない 限り,いつか破綻するに決まっていますから。

> 加えて言うと,地域通貨ので,このような詐欺事件がおきた例
> などがあるのでしょうか?

商品券型地域通貨の場合,換金できなくなったなどの詐欺事件まがいのことが 起きたというのは今のところ聞いたところがありません。円天が初めてです ね。

> いずれにしろ,円天のような事件があり,こういう批判が出てくると
> 地域通貨自体がやりにくくなるし,公的な機関の支援も得られにくく
> なりますね。

え〜と,一般に誤解があるように思うのは(それを広げようという悪意を持っている人もいるようですが,これぐらい理解してほしい),地域通貨や電子マ ネーの仕組み自体が悪いのではないということです。

ネズミ講が違法であるということが問題なのに,人がそのことを理解しない で,地域通貨を批判するのが間違っているのです。別に地域通貨を使わなくて もネズミ講はできるし,これまでも行われているのですよ。地域通貨がネズミ 講に利用されやすいなんてこともないはずです。商品券型地域通貨でも,前払 式証票に関するプリペイドカード法があるので,本来は発行額の半分を円で金 融機関に預けなければならないので,ネズミ講まがいのことはできないように 規制されているのですから。地域通貨を語りNPOを作って,地域通貨特区の 規制緩和メリット(供託金を置かなくていいという)を受けていたというなら 大問題ですが,そういうことではありませんし。円天はネズミ講式に違法に過 剰発行され流通して破綻した,ただそれだけです。単に,無から無限に購買力 (お金)が生み出せるかのような錯覚を起こさせるたマジックのネタとして 「地域通貨」的仕組みが利用されたというだけです。

前にそんなことを書いた「円天の顛末」なる文章を書きかけていたんですけど。いまは進化経済学入門の方が先ですね。

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総スレッド数: 11 | 総投稿数: 28

 

情報交換
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あの町、この町で行われている地域通貨に関する情報に関して、話し合いましょう。
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tomoko
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地域通貨マップの使い方についてわからないことがあれば、ここで質問してください。
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tomoko

 

 


 

投稿者 スレッド
yamamoto
投稿日時: 2006-5-15 0:10
管理人
登録日: 2006-4-27
居住地:
投稿: 1
地域通貨マップへの登録方法について
地域通貨マップは、地域通貨が流通している地域を地図上に登録していくことで、それらの地域を視覚的に捉えることができるようになります。

登録方法は、
1.住所欄に登録したい住所(市町村名)を入力してエンターキーを押す。

2.同じ地名がある場合いくつか候補地が地図の右「Search Results」に表示されます。登録したい方をクリックすればその場所に移動します。

3.地図左上にあるズームなどを利用して登録したいポイントを決めます。(商店街や運営事務所など)

4.地図の下に「現在地をマーカ追加」というボタンがあるのでそこをクリック。

5.タイトルに地域名、説明に地域通貨名を記入し「OK」ボタンをクリック。

以上で登録完了です。
また、地図上でダブルクリックすると、その場所に中心が移動します。そこからズームを利用することで、住所を入力しなくても目的地を探すことはできます。

さらに、地図上ではクリックしたままマウスを動かすことで場所の移動ができます。

登録方法でわからないことがあれば、ここで聞いてください。

 

投稿者 スレッド
yamamoto
投稿日時: 2006-5-15 20:47
管理人
登録日: 2006-4-27
居住地:
投稿: 1
Re: 地域通貨マップへの登録方法について
管理人の山本です。

登録してくださって皆様への地域通貨マップへの登録権限がなかったようです。先ほど修正しました。

既にアクセスされた方、申し訳ありませんでした。

 

投稿者 スレッド
yamamoto
投稿日時: 2006-5-16 19:29
管理人
登録日: 2006-4-27
居住地:
投稿: 1
CCWikiの編集方法
Wiki方式の編集方法に慣れていない方は、ちょっと戸惑うと思うので、簡単に編集方法を書いておきます。

まず、登録したい地方のページを開きます。例えば、関東地方の千葉県で行われている地域通貨を登録したいとします。

その場合、トップページ下のほうにあるコンテンツ部分の、関東をクリックして関東のページを開きます。
そして、そのページの上に並んでいるメニュー(新規|編集|差分|・・・)から編集をクリックします。

関東のページには既にいくつか登録されているので、それを真似すれば良いのですが、具体的には下のように入力します。

-[[関東/○○]]

「-」は・を表示し、「[[]]」で囲まれた部分は新規ページが作成されます。
上の場合、関東というページは既にあるので、/以下の○○の部分の名前で新規ページが作成されるのです。

入力後は、入力欄の下にある「ページの更新」を押して編集を反映させます。

すると、関東のページに「・関東/○○」という項目が追加されるので、今度は○○の部分をクリックし、○○のページを表示します。

先ほどと同じように、編集をクリックして、テキスト入力欄にその地域通貨の情報を書き込み、ページの更新をクリックすれば完了です。

自分が編集したページでも他の誰もが再編集可能なので、足りない情報があっても気にせず登録していってください。


文字の修飾などは「テキストの整形ルール」や「ヘルプ」を参照すると載っています。


わからないことやその他質問があれば気軽に聞いてください。

 

投稿者 スレッド
yamamoto
投稿日時: 2006-6-11 1:24
管理人
登録日: 2006-4-27
居住地:
投稿: 1
カテゴリの追加
ヨーロッパ、カナダ、北アメリカ、南アメリカ、韓国、世界全体の6つのカテゴリを追加しましたのでお知らせします。

地域通貨マップページ右上の「カテゴリ」から選択することができます。

 

投稿者 スレッド
yamamoto
投稿日時: 2006-6-19 14:28
管理人
登録日: 2006-4-27
居住地:
投稿: 1
Re: CCWikiの編集方法
管理人です。
かなりのページで編集不能状態となっていたので修正しました。

ご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げます。
そして、これからはドシドシ編集していただければと思います。

 

投稿者 スレッド
yamamoto
投稿日時: 2006-7-2 18:41
管理人
登録日: 2006-4-27
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投稿: 1
自己紹介はこちらで
管理人の一人、山本です。
自己紹介用のスレッドを立てました。

皆さん遠慮なく自己紹介して下さい。
もちろん、誰かの自己紹介に対するレスも歓迎です。

 

投稿者 スレッド
miyazaki
投稿日時: 2006-7-18 1:00
新米
登録日: 2006-5-1
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投稿: 14
Re: 自己紹介はこちらで
自己紹介をさせていただきます。管理人の1人の宮﨑と申します。

現在,北海道大学大学院経済学研究科で地域通貨に関連する研究を行っております。

地域の市民の内発的なパワーから生み出された地域通貨をツールとした地域づくりに興味があります。

地域通貨がどのような地域で生まれ,持続していくのか,また地域通貨によって地域コミュニティがどのように変容していったかについて明らかにしていけたらと考えております。

よろしくお願いいたします。

 

投稿者 スレッド
k-tetsu
投稿日時: 2006-8-8 11:28
新米
登録日: 2006-8-6
居住地:
投稿: 1
Re: 自己紹介はこちらで
初めまして。
東京大学人文社会系研究科で社会心理学を専攻しております、小林哲郎と申します。

このたび、mixi経由でこのサイトを知り、登録させていただきました。

地域通貨は社会関係資本蓄積の契機になりうるかという点から興味関心を持っております。
米国よりポスドクで来ていた研究員が、千葉県市川市の地域通貨「てこな」について研究していました。
その結果は、地域通貨を用いることで対人的な信頼感の上昇につながるというものでした。

自分の研究のメインは、ネットの集合的利用が社会関係資本に対してどのような効果を持つのかといったようなことです。現在は、集合住宅での住民間のネット利用が、駐車スペースや子供の遊び場、ゴミだしなどの集合的問題解決にどのように有効であるかを、社会調査を用いた定量的方法によって検討しています。

それでは今後ともよろしくお願い申し上げます。

 

投稿者 スレッド
ゲスト
投稿日時: 2006-8-11 21:31
 
教えて下さい!
西部忠先生にお伺いします。

国土交通省の副大臣をしていました岩井国臣です。

先生のホームページにある「Qプロジェクト」というのは、大変面白いと思います。
やり様によりますが、発展の可能性が高いと思っています。
しかし、残念ながら、不信な点があります。

そこで質問ですが、

ひとつは、最近の活動状況はどうなっているのでしょうか?

次の質問ですが、掲示板はどうなっているのでしょうか?


もし必要があれば、上記二つの問題ともお力添えができると思います。

できれば状況を詳しく教えて下さい!

 

投稿者 スレッド
ゲスト
投稿日時: 2006-8-18 2:37
 
Re: 教えてください!
こんにちは,岩井さま,西部です。

ここはすべての訪問者が投稿できるスレッドなので,「雑談します」のスレッドでお答えしました。そちらをご覧下さい。

引用:


ゲストさんは書きました:
西部忠先生にお伺いします。

国土交通省の副大臣をしていました岩井国臣です。

先生のホームページにある「Qプロジェクト」というのは、大変面白いと思います。
やり様によりますが、発展の可能性が高いと思っています。
しかし、残念ながら、不信な点があります。

そこで質問ですが、

ひとつは、最近の活動状況はどうなっているのでしょうか?

次の質問ですが、掲示板はどうなっているのでしょうか?


もし必要があれば、上記二つの問題ともお力添えができると思います。

できれば状況を詳しく教えて下さい!

 

投稿者 スレッド
Nishibe
投稿日時: 2006-8-18 3:06
管理人
登録日: 2006-4-30
居住地:
投稿: 4
Re: 自己紹介はこちらで
小林さん,こんにちは。
西部です。どうぞよろしく。
いくつか質問です。

千葉県市川市の地域通貨「てこな」について,「地域通貨を用いることで対人的な信頼感の上昇につながる」というのはどんな分析方法を使った結果ですか。

「ネットの集合的利用が社会関係資本に対してどのような効果を持つのか」ということですね。ソーシャル・キャピタル論をmixiでやってみるとかできそうですね。「社会調査を用いた定量的方法」とはどんな方法ですか。ネットワーク分析もされるんですか。うまく考えれば,北大の山岸さんがやられている信頼に関する実験分析のようなものもできそうですね。

 

投稿者 スレッド
femmelets
投稿日時: 2006-9-4 21:59
新米
登録日: 2006-8-17
居住地: 千葉県船橋市
投稿: 4
Re: 自己紹介はこちらで
初めまして、

metaというLETSをやっていますが、ほとんど回っていません。成功するLETSを創りたいです。電子マネーなど貨幣のヴァーチャル化がネットコミュニティ通貨の普及の条件の一つなのではないかと考えています。

自由通貨meta

貨幣も「記号」の一種に過ぎません。しかし貨幣という「記号」は、私達の生を特権的に拘束する特殊な「記号」なわけです。そのような役割を持つ貨幣を脱魔術化し、相互扶助の輪を広げたいです。それが私の考える「可能なるコミュニズム」です。

 

投稿者 スレッド
kon
投稿日時: 2006-9-20 23:09
新米
登録日: 2006-9-20
居住地: 山梨県
投稿: 1
Re: 自己紹介はこちらで
初めまして。

八ヶ岳高原、標高950mに暮らしている金野と申します。

6年前に八ヶ岳大福帳という通帳方式の地域通貨を立ち上げ、現在も継続中です。

本来の目的である、お金の在り方に対して疑問を投げかけるという狙いは、かなり希薄になっています。

地域通貨には助け合いの仕組みという側面もあるわけですが、一番理解されやすいのはこの面かも知れません。

日本に於ける世相を見渡せば、おおよその理解が可能かと思いますが、物事を深く考えることを敬遠する人々の多さに閉口しています。

 

投稿者 スレッド
yamamoto
投稿日時: 2006-9-23 17:24
管理人
登録日: 2006-4-27
居住地:
投稿: 1
Re: 自己紹介はこちらで
皆様こんにちは。
スレッドを立てておきながら自己紹介するのを忘れていた、管理人の一人である山本です。

現在北海道大学大学院経済学研究科の博士後期課程に在籍しております。私の研究は直接地域通貨とは関係していませんが、非常に興味ある分野であります。
ここ2ヶ月ほどイギリスにいまして、サイトの管理に手が回りませんでした。

サイト公開後、徐々にではありますが、いろいろな方にユーザー登録していただいております。中には実際に地域通貨を運営している方もいらっしゃるようです。

せっかくなのでもっと盛り上げていきたいですよね。
良いアイデアをお持ちの方、是非教えてください
コミュニティサイトなので、もっと皆様とコミュニケイションをとれる方法はないかと考えてはいます。

今後ともどうぞよろしくお願いします。

 

投稿者 スレッド
Nishibe
投稿日時: 2006-10-13 22:32
管理人
登録日: 2006-4-30
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投稿: 4
Re: こんにちは
金野さん,ようこそ。
西部です。

八ヶ岳大福帳,6年間継続中とのこと。日本でもかなり古い地域通貨の一つとお見受けします。東京にいた頃は八ヶ岳にも何度か登りに行きました。950メートルの高原というのですから,こちら札幌より寒いかもしれませんね。

おっしゃるとおり,地域通貨は「助け合い」のシステムというのが一番わかりやすく,受け入れられやすい側面です。しかし,お金の在り方への疑問というのも当然あるわけです。「エンデの遺言」も「根源からお金を問うこと」だったわけですし。お金を考えなければ文化も考えられない,あるいは,お金を変えなければ文化も変わられない,というのがエンデの最後のメッセージ。しかし,それはどのように理解してもらえるのかと考えさせられます。

マスコミも含めた大騒ぎも上っ面をすべっただけなのに,すぐにうまく行かなかったというような論調に変わります。この5年ほど事態が切迫してくればくるほど,人々の脳髄は麻痺したように事実の表層しか見なくなってしまいますね。事実が意味する深層(真相も)には興味を示さないわけで,軽い言葉は猛烈に流通しますが,これではおそらくダメですね。今は「深さ」が必要なのだから。

ま,「継続は力」ですから,閉口せずに行きましょう。
それでは。

 

投稿者 スレッド
iwai
投稿日時: 2006-8-10 23:46
新米
登録日: 2006-8-10
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愛の通貨
みなさん よろしく!


はじめからむつかしい話で恐縮ですが、

私のホームページで地域通貨がひとつの柱になっていますので、

是非、読んでいただいて、感想なり、ご意見なりを聞かせていただければ大変有り難いと思います。

http://www.kuniomi.gr.jp/geki/ai/index.html

 

投稿者 スレッド
iwai
投稿日時: 2006-8-10 23:36
新米
登録日: 2006-8-10
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はじめまして 岩井です。

 

投稿者 スレッド
iwai
投稿日時: 2006-8-11 0:01
新米
登録日: 2006-8-10
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私の国会質問
みなさん こんにちわ!

私は、今、参議院の財政金融委員会の筆頭理事をしていますが、その参議院財政金融委員会で谷垣財務大臣に質問した・・・・「地域通貨」に関する私の発言要旨を紹介しておきます。

http://www.kuniomi.gr.jp/geki/iwai/zai8y.html

http://www.kuniomi.gr.jp/geki/iwai/zai8cy.html


この後、私の掲示板「自由の広場」で、いろいろと地域通貨について語っていますので、おいおい紹介していきたいと思います。

 

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Nishibe
投稿日時: 2006-8-18 2:56
管理人
登録日: 2006-4-30
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Re: はじめまして 岩井です。

 

投稿者 スレッド
Nishibe
投稿日時: 2006-8-18 4:30
管理人
登録日: 2006-4-30
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投稿: 4
re: 教えてください!
こんにちは,岩井さま,西部です。
二つご質問をいただいているのでお答えします。

まず,Qプロジェクトの最近の活動状況についてです。「できれば状況を詳しく教えて下さい!」ということですので,できるだけ詳しく説明します。「不信(不審?)な点」について,できるだけ払拭できればと思います。

[Qのリニュアール・サイト]

Qプロジェクトはかれこれ5年前の2001年に開始されたプロジェクトで,現在は宮地剛さんが代表をされています。Qホームページは最近xoopsを使ってリニューアルしました。

http://www.q-project.org/

にあります。

[システムソフト:以前のWinds_qと現行のWinds_sletsの違い]

Qでは以前はWinds-qというかなり複雑で大規模なperlプログラムを採用していましたが,今ではよりシンプルなWinds_sletsを使っています。Winds_sletsは先のQホームページの左側のメニューにありますが,URLはここです。

http://q-project-sys.org/winds/

各会員が自分のIDとパスワードでログインする仕組みで,イーバンクなど,ネットバンクのシステムとそう違いはありません。以前のシステムはネットバンクよりもおそらくずっと複雑なシステムですが,他の会員の取引履歴や口座残高が全て閲覧できるガラス張りになっています。Winds_sletsでは自分の取引履歴と口座残高しか見れないようになっているのと,赤字上限が固定されているのが以前との大きな違いです。

こうなった事情はいろいろありますし,こうするのがいいかどうかについてもディスクロージャーやプライバシーの観点から賛否両論ありました。Qの基本的設計理念は,プライバシーではなくディスクロージャーこそ,会員相互の信頼醸成に不可欠だというものです。Winds_Qはこの考えに基づいて,会員がほとんど全ての情報を見ることができる完全に透明なシステムにしたのです。初めは多少の違和感がありますが,これに一旦慣れてしまうと,他の人がどんな取引をしたのか,そして,その結果としていくら残高を持っているのかといった情報を確認できないと,逆に不安になります。というのも,これではいざ誰かと取引をしようと思っても相手についての情報がないわけで,むしろそういう状況に不満を感じるからです。Yahooオークションや楽天などのバーチャルモールなどでも,買い手が売り手を評価した評判情報をポイントにして提供しますが,それに近い感じで,取引情報そのものが評判情報になるわけです。もちろん,会員の合意に基づいて,一定の情報を見れないようにすることはシステム上できるようになっています。

Winds_Qには,参加者の実績評価の仕組みとして,売り買いの取引合計に赤字上限が連動して拡大する仕組みが組み込まれていました。これはあるプログラマの方が一人で書いたものですが,プログラムが大きく入り組んでいて,本人でもどこに何があるかがわからなくなるそうで,このため,メンテナンスやアップグレードが難しくなってしまったのです。かつてはQハイブにソフトウェア関係だけでも数人の「ボランティア」が参加していたのでこの巨大システムのメンテやバグ取りも可能でしたが,今はプログラマがいないという厳しい状況なのです。となると,管理運営の負担軽減を第一に考え,システムのメンテナンス,開発における簡便さを他の設計理念に優先させざるをえなくなるのです。

ということで,Qはいま最もシンプルなLETSをビルトインしたslets(simple-letsの意)を採用しています。これをミニマムなシステムと考えれば,さらに必要となる機能のモジュールを追加的に開発して行けば,より高度なシステムが作れます(あくまで理想の話ですが)。こうしたモジュール思想に基づいていますので,拡張可能性は確保されています。要は,その後を誰が開発し管理するかということです。いずれもう一度この点について議論しようということになっています。

[カフェ・コモンズ]

ところで,宮地さんはいまQの代表であるだけでなく,あるカフェの店長でもあります。昨年,スローフードとスローワーク(引きこもりの人が働ける場所づくり)というコンセプトを掲げて,大阪府高槻市で何人かの仲間とともにカフェ・コモンズを開店し,そこでの飲食サービスの支払いにQを使えるようにしました。

http://cafe-commons.com/
http://cafe-commons.com/05staffs/index.html

いくらネット上の通貨とはいえ,やはり実際にQが使える店,Qで買えるモノやサービスがないとうまく流通してくれません。東京国分寺にスローフードのカフェとして有名なカフェスローがありますが,そこでQが使えます。宮地さんがQ代表になってからQの今後のことをいろいろ議論したのですが,とにかくまず使える店を一つでも増やすことが大切だという結論に達しました。そこで,カフェスローに匹敵する店を関西にも作りたいということで,カフェスローを手がけたデザイナーの大岩さんに設計をお願いし,店の内装やパンを焼く石窯は自分たちでこつこつ作っていったそうです。ここにそうした説明があります。

http://cafe-commons.com/03aboutus/index.html

話を聞いていると,開店当初は宮地さんらの賃金の支払もままならず,しかも「スローワーク」と言うスローガンとは裏腹な「ハードワーク」の毎日で,へとへとに疲れ,経営的にも相当苦戦していました。しかし,このところ,毎月イベントを開催して次第に固定客も増えており,経営的にも安定してきました。余裕ができたこともあり,ようやく当初考えていたQなどの地域通貨との連携も実現化してきたようです。

[Qの沿革]

ここで,Qの沿革について説明しておきます。予めお断りしておきますが,詳細な事情や理論的な批判についてはここで書くことはできません。いずれ,別の機会に書くつもりですので,ここでは,特にQに関心を持っていただいた方に知っておいていただきたいと思うことだけを記しておきたいと思います。

Qプロジェクトは私がNAM(NAM(New Associationist Movement)は柄谷行人が中心になり2000年に創始した運動,浅田彰,坂本龍一,岡崎乾二郎,スガ秀美等の著名人,太田出版社長・社員他も参加,私も初めから参加したが,下記の理由で2002年に脱退した。その後,2003年解散。)にいた頃に始めたものです。参加者を募集し,半年ほどの討議と準備期間を経て,2001年12月に正式に会員を募集しました。

[Qハイブ]

Qの運営母体であるQ管理運営員会は,「ビーハイブ」(蜂の巣)をもじって「Qハイブ」と呼ばれていました。Qハイブは当時20人ほどいて,MLで討議や情報交換,報告をしながら運営されていました。各委員会ごとに会議室ならぬMLがあったので,全部でMLは10以上ありました。NAM会員を中心に運営を行っていましたが,そうでない人もいました。Qハイブメンバーの居住地はグローバルで,東京,大阪,名古屋を中心に北海道や長崎,ニューヨーク等から参加していました。Q会員の地理的分布も同じようなもので,グローバルに散らばっています。Qを「グローカル通貨」と呼ぶのは,ネット上のバーチャルなコミュニティが関心に規定されるローカルなものでありながら,参加者の居住空間がまったくグローバルであるということによります。

[Qの基本方針:開放性と独立性]

プロジェクトは準備段階からNAMメンバーだけのクローズドなものでなく,メンバーではない一般の方も参加できる,オープンなネット上の地域通貨を指向していました。したがって,プロジェクトの正式の開始時点でも,Qはその会員をNAMに限らず,その外部からも広く募集したのです。実際,NAMとまったく関係ない人もかなり参加してくれました。このQの開放性と独立性については,事前討議の段階で突っ込んだ議論がされました。なぜQがNAMの集合の外へ出なければならないのか,その場合,NAMの位置付けはどうなるのかなどです。言うまでもなく,この議論には後に騒いだ柄谷行人も参加していて,このことを承認していました。そして,この基本方針は,Qハイブでその後何度も確認されてきたのです。

[QとNAMの紛争における柄谷行人の言動]

ところが,やがてこのことが問題として顕在化してきました。2002年8月下旬に,オフ会でQの運営方法と方向性について運営メンバーが話し合うことになっていました。ここに,柄谷行人(監査委員)が何の連絡もなかったのに飛び入り参加し,Qの基本方針に強引に介入しようとしたのです。それだけでなく,自分の意に添わない副代表を辞任させろなど不当な要求を突きつけ,それに従わない私に対して,恫喝を続けました。徹夜でも自分の意見に従わないQ代表である私に対して,さらに,自分の社会的地位(近畿大学国際人文科学研究所所長)を利用して圧力をかけてきました。このため,私は2002年8月31日にNAMを退会したのです。

彼の意図は,意識的だったかどうか知りませんが,QをNAMに従属させることにあったようです。柄谷行人はその後,私やQを誹謗する文書「Qは終わった」を書いて,NAMの最高議決機関である評議委員会の承認もえないで勝手にNAMのHPに載せようとします。回りの人々がそれを止めたことに腹を立て,「自分を専制的と言うならば,NAMを辞める」と脅します。その時,彼は既に代表ではなく,NAMでは何の正式な権限も持っていませんでした。しかも,自分が称揚した「くじ引き」(権力の固定や派閥争いをなくす事を目的に,選挙で選んだ最後の3人の候補からくじ引きで代表を決め,残りの二人を副代表にするという方法)により決定した新しい代表や副代表がいて,彼らが評議会で止めに入った,特に,弁護士である副代表が名誉毀損の恐れありと忠告したにもかかわらず,まったく言うことを聞かなかったということです。その挙げ句の果てに,自分を止めた評議会委員に逆に謝罪させ,辞めるどころか居直って,ますます好き放題に暴れました。彼はその間もQへの攻撃や嫌がらせによりQをつぶそうとしますが,このやり方に反発するNAM会員も多く,なかなか彼の意のままになりませんでした。そして,最終的に,2003年2月にNAMは解散してしまいました。

私はその当時,柄谷行人が引きおこした会費返還,退会煽動の対処に追われていましたし,QハイブにいるNAM会員も黙っているので,NAMで一体何が起こっているか知りませんでした。後でいま説明した経過を知った時には,ただあきれて開いた口が塞がりませんでした。この一連の行動を間近で見た人が,それを「ちゃぶ台返し」(「巨人の星」の主人公の父,星一徹が得意とするところの)に喩えましたが,父性の爆発とかそんな高級なものではないでしょう。自分が欲しい玩具が買い与えられないで道路で大の字になって泣き叫ぶ幼児のような行動でしかありません。柄谷行人はQへの中傷文書において,Q管理運営委員会(Q管)のメンバーを「Q患」に喩え,ピョンヤンに行くべきだと言うのですが,自分こそまさにピョンヤンの首領であることには全く盲目なのです。こういう言葉から見ると,Qに対する言動も無意識的なものだったのだろうということです。

私や副代表を中心とする何人かのメンバーは「Qプロジェクト」をNAMから独立のプロジェクトにするという大規模な外科手術を施すことで,この問題を解決しようとしましたが,転移があちこちに進行して組織癒着もひどく,うまく行きませんでした。QをNAMの下部組織にしようとする柄谷行人の考えに追随するNAMに属するQハイブのメンバーが意外に多かったため,これがQとNAMの「紛争」へと発展してしまったのです。

そういう独裁的体制の中で,柄谷行人シンパの過激な小グループが自然発生的に形成されました。2002年10月に,柄谷の実の息子やQハイブメンバーを含め3名が総額1億Qを超える架空取引をでっちあげて,こうした不正が発覚すると今度はそれをシステムのバグを教えてやったのだと開き直ったり,MLでQは欠陥のあるシステムであるとかいちゃもんを付けて会費を返金しろと大騒ぎしたり,挙げ句の果てに,他のメンバーにQを退会するよう煽動したりしました。こうした自作自演ともいうべき,露骨で悪質な妨害活動を裏で操っていたのが柄谷行人でした。そして,こうしたQでの騒ぎに絡んで柄谷行人がNAMで傍若無人な言動を繰り返した結果,NAMが解散に追い込まれました。こうしたことすべてが,今や当時のMLのメールなどの資料から明らかになっているのです。

柄谷行人は『倫理21』で戦争責任を問い,「望ましい責任の取り方は、この間の過程を残らず考察することです。いかにしてそうなったのかを、徹底的に検証し認識すること、それは自己弁護とは別のものです。」と述べています。かくいう著者が自らの紛争責任を問い,自己の言動の「過程を徹底的に検証し認識すること」で責任を果たす気はあるのか。認識と考察だけで責任が十全に果たせるとは私は考えませんが,せめて自分の言葉どおりのことをできるのか。鋭い批評的洞察も己に対してなぜかくも盲目なのか,と思わざるをえません。

Qの方はこうした煽動でも柄谷行人や彼を取り巻くグループを構成する数十人しかメンバーは減らず,その後もNAMの残党からの妨害行為がありながら生き残りました。しかし,彼らの行為により大きな打撃を受けたことはまちがいありません。Qハイブは2年前,Qの規約を大きく改正し,システムをWinds_QからWinds_sletsへ変更しました。初期の規約に書かれていた団体会員や赤字上限の条項を削除し,システムの機能や管理運営員会の役割も縮小しました。そして,それを承認してくれる会員だけ更新してくれるよう求めたのです。この更新手続きは,Qが白紙から出直すという意味で行ったものです。その結果,予想通り会員数が大きく減りました(一時は350いた個人・団体会員も,騒動の中で300を切り,この更新で100を切りました)。多くの参加者は地域通貨がうまく行くかどうかではなく,こういうゴタゴタが阿呆らしくなったとか,嫌気がさしたとかでやめてしまったにちがいありません。

これがいくら理不尽とはいえ,こんなことは世間の様々な集団や組織でもよくあることでしょうし,特別な事態ともいえないでしょう。しかし,こうした紛争さらには戦争をできればなくしたいと考えるのもまた当然ではないでしょうか。今見た柄谷行人の一連の言動に含まれている理論的・実践的な問題点についてはいずれ詳しく論文を書くつもりなので,そちらをご覧いただきたいと思います。また,Qプロジェクトの上記サイトにあるQ監査委員会のアーカイブ等に資料があります。それをご自分でそれを読んでいただければ,ある程度,以上述べたQの関わる事態の経緯はつかめるでしょうし,私が柄谷行人について述べた事実の真偽も判断できるはずです。

[Qの有効性]

ちなみに,私はいまでもQの当初の制度設計の理念やシステムは有効であると考えています。そのための前提条件は,もう少しマトモな社会環境の下で,独立心と自制心を備えた大人が使うのならばということです。これは果たして過大な要求でしょうか。私にはそうは思えません。私自身もそれほど自信があるわけではないので偉そうなことはいえません。しかし,少なくともQに関して柄谷行人やそのシンパが行ったふるまいに陥らない程度の常識と見識があれば,立派に機能しうるシステムだと思っています。もちろん,システムのセキュリティはもっと高める方がいいでしょうし,そうした努力はすべきでしょう。しかし,本当の問題はクライアント・サーバー型の「システム」にあるわけではありません。むしろシステムエンドにある「ヒューマン」や「マインド」の方にあるのです。「ヒューマン」や「マインド」がよくなければ,中央のサーバーに依存しない分散型システムにしても変わりません。

そもそも完全なセキュリティもなければ,解読しえない暗号もありえません。いつか,それらは破られるのでイタチごっこを続けるしかないのでしょう。しかし,初めから全てを技術的に解決すべきだと考えるのもどうでしょうか。<空巣に入っておいて,人の家の戸締まりについて説教をする輩>や,<人殺しをしておきながら,それをナイフの殺傷能力のせいにし,より安全なナイフを要求する輩>は確かに存在して,私たちをうんざりさせます。そのために絶対に破られない鍵や人を殺せないナイフを作ることに延々と努力することは本末転倒でしょう。私は,空巣や人殺しをするなという道徳を過大な要求だとは思いません。

もっとも,プログラムのメンテナンスやアップグレード等の開発を持続できる体制をいかに作るかといった課題が残されていることも確かでしょう。これは,オープンソース型開発につきものの問題です。ここで,地域通貨の円滑な利用のためのソフトウェア開発のための有効な手段は何かと考えて行くと,結局,振り出しに戻ってしまいます。他の様々な問題と同じように,これを解決するには,お金を払う,権力的にやる,コミュニティ的に助け合うしか方法はないように見えるからです。地域通貨による解法とは,このうち1番目のマネーと3番目のコミュニティの合成ベクトルで解を出そうというものです。

話がQのこれまでの経緯についての話からそれてしまいましたので,この辺りで終わりにしておきましょう。

もう一つの「掲示板はどうなっている」というご質問はQの掲示板についてのようですね。この掲示板はxoopsでできていて,Qハイブの広報ワーキンググループのHPプロジェクトのメンバーがいろいろ話し合いをし,松原さんが代表になって進めてきたプロジェクトの成果です。詳しくは彼に聞いていただいた方がいいかもしれません。Qのサイトの「お問い合わせ」というところの「・このサイトに関して」をクリックすると彼にメールすることができます。あるいは,彼もこのサイトの登録メンバーですから,ここで彼に聞いてもらってもいいでしょう。

それでは。

引用:


ゲストさんは書きました:
西部忠先生にお伺いします。

国土交通省の副大臣をしていました岩井国臣です。

先生のホームページにある「Qプロジェクト」というのは、大変面白いと思います。
やり様によりますが、発展の可能性が高いと思っています。
しかし、残念ながら、不信な点があります。

そこで質問ですが、

ひとつは、最近の活動状況はどうなっているのでしょうか?

次の質問ですが、掲示板はどうなっているのでしょうか?


もし必要があれば、上記二つの問題ともお力添えができると思います。

できれば状況を詳しく教えて下さい!

 

投稿者 スレッド
matubara
投稿日時: 2006-8-18 21:01
新米
登録日: 2006-6-28
居住地:
投稿: 2
re: 教えてください!
re: 教えてください!

岩井さま、はじめまして
xoopsを利用した新しいQサイトのプロジェクトリーダーを勤めさせていただいている松原です。

岩井さまから掲示板についてご質問がありましたが以前のQサイト

http://lets-q.org/

ではQ会員以外は投稿できないクローズドなものでしたが新しいQサイト

http://www.q-project.org/

では誰でも投稿できるオープンなものにしております。私としてはxoopsの特性を生かしQに関心のある人たちのオープンコミュニティを作りたいと考えております。
現在、資本主義のもたらす様々な弊害は大きな社会問題を引き起こしていますが、それらを解決する有効な手立てとなるとなかなか、これといったものがないのが現実です。そのなかで地域通貨というのは資本主義のあり方を少しずつ変えていく有効な手段ではないかと考えております。
私としましてはQのサイトを、こういったことに関心のある人たちのコミュニティにしようと考え設計しました、例えば新Qサイトでは取引したい商品やQのお店を登録できたりフォーラムやブログで会話や討議をしたりすることもできます、そしてこのようなオープンコミュニティによりQを発展進化させていきたいと願っております。
岩井さまも、よろしければ新Qサイトの会員になっていただきいろいろご発言いただければ幸いと存じます。

 

投稿者 スレッド
femmelets
投稿日時: 2007-1-7 22:49
新米
登録日: 2006-8-17
居住地: 千葉県船橋市
投稿: 4
西部忠さんにお願い
東京か千葉で、地域通貨のワークショップを開きたいのですが、西部さんのご都合は如何でしょうか。関東にいらっしゃるついでがある時でいいのですが、ご検討いただければ幸いです。

ぼくは毎週水曜、早稲田のあかねで当番をしています。あかねでなくても、別の場所でも可能です。

それと、Qのサイトで提案したオルタナ祭り、本気でやりませんか。Qのほうでも提案していただければ幸いです。ぼくは、meta、LETS、RR、WATなどで提案していきたいと思っています。

 

投稿者 スレッド
Linda
投稿日時: 2007-1-18 1:18
新米
登録日: 2007-1-18
居住地:
投稿: 2
地域通貨祭り
各地の地域通貨メンバーが集まって、交換や交流をする、地域通貨祭りというイベントを企画しています。是非、ご参加いただければ幸いです。よろしくお願いいたします。

 

投稿者 スレッド
Linda
投稿日時: 2007-1-18 1:20
新米
登録日: 2007-1-18
居住地:
投稿: 2
Re: こんにちは
メールアドレスを変えたので登録し直しました。

別トピックでも書きましたが、地域通貨祭りの開催を企画しています。是非、ご協力いただければと思います。

攝津正(千葉県船橋市在住、芸音音楽アカデミー代表)

 

投稿者 スレッド
tomoko
投稿日時: 2009-4-2 4:36
新米
登録日: 2009-3-26
居住地:
投稿: 5
Re: 自己紹介はこちらで
こんにちは。はしぐちともこと申します。
いろいろ勉強させていただきたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。

 

投稿者 スレッド
tomoko
投稿日時: 2009-4-12 12:53
新米
登録日: 2009-3-26
居住地:
投稿: 5
イベントでのLETS使用の課題など
現在、2日間のイベントでLETSを使う試みを行おうと計画中です。
イベントを手伝ってくれるボランティアへの報酬として地域通貨を使い、会場内の店のみで使用できるというものです。

イベントに参加する店の協力と、物の寄付でなんとか通貨を回せないかと考えているのですが、どなたか似たような事例をご存知の方、またはご意見などありましたらお願いします。

まだ提案段階なので、実行できるか分かりませんが、詳細についてはhttp://chiikituka.net/で報告していきます。(こちらにも進捗報告します)

 

投稿者 スレッド
tomoko
投稿日時: 2009-4-14 22:57
新米
登録日: 2009-3-26
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投稿: 5
Re: イベントでのLETS使用の課題など
進捗報告です。

本日あるイベントで地域通貨を使うための提案をしてきました。
イベントに参加する店舗に大きく協力してもらうというモデルだったのですが、どこの店舗も持ち出しは厳しい様子で、差し戻しとなりました。

単発で完結する仕組みというのは難しいのでしょうか…。

でもどうしてもイベントで使える仕組みを作りたいです。その為になにが足りないか。店にも売り上げがあり、さらに参加者も嬉しい仕組みをもう一度考えてみます。

ご意見などありましたら、よろしくお願いします。

 

投稿者 スレッド
tomoko
投稿日時: 2009-5-10 8:34
新米
登録日: 2009-3-26
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投稿: 5
Re: イベントでのLETS使用の課題など
またまた自レスですみません。

6月末に行われるあるイベントの「ボランティア報酬を支払いたいが資金がない」というところから地域通貨の話がでました。
イベントで使用した通貨をそのまま継続できないかと考えて提案したのですが、今回は見送ることになりました。

イベントのテーマから言って参加者の地域通貨への理解が早いのではないかと感じたのですが、イベントの期日が迫っていて準備が十分にできないという事もあり、このような結果となりました。

参加したメンバーの中には、地域通貨に関心の高い人もいて、勉強会などをしてはどうかという話があったので、今後は「学び合う」場を設けるなどしてみたいと考えています。

ということで、このスレはこれで終了といたします。

不確定な事が多くて抽象的な書き込みとなりました。
コメントしにくかったと思います。すみません。
次はもう少し具体的なことでスレッドを立ててみようと思います。読んでくださったみなさん、ありがとうございました。